kionachiの日記

中野でコミックやラノベの装丁やテキスト仕事や社長などをしている木緒なちの日記です。

禁煙して一年以上経ったので記録する

 20代の前半からずっと吸い続けていた煙草を、昨年思い切ってやめることにした。あまり参考にはならないかもしれないけれど、やめたいと思っている人が同じやり方でやめられたら役に立てるかもということで記録しておこうと思う。

 吸っていた銘柄はセブンスターで、だいたい3日で1箱が空くぐらいの頻度で吸っていた。職業柄、どうしても考えに詰まってしまう時があって、その気分転換と、あとは食後の一服が心地よく、その2用途が習慣となって10年選手の喫煙を続けていた。

 やめようと思った切っ掛けは自宅を購入物件にしたことだった。長期ローンを組んだこともあり、大切に使うためには換気扇の側かベランダで吸うことになり、それならという理由だった。他にも、加齢による肺への影響や、昔に比べるとノドが荒れやすくなったりと、複合的な理由からの禁煙だった。

 やめる、と思い立った一年半前の時点から、まずは習慣性を無くすことが大切だろうと思い立ち、食後の喫煙をやめることにした。ネットでの禁煙体験談などを読むに、軽い煙草に変えるのはどうもよくないらしい。ということで、食事に出る際に煙草を持って出ないようにして、ライターを常に所持するのもやめた。しかし、これはダメだった。どうしても外で買ってしまいそうになるし、事務所に戻ってきてからつい引き出しを開けて外に行ってしまう(事務所は室内禁煙)。

 なので、とにかく本数を減らそうと、食後に吸うのは一日一回夕食時のみ、気分転換も一日一回のみとしてみた。最初はもうイライラした。吸いたいのに吸えないということでネタも考えられない、吸えば仕事が進むじゃないか、と、甘い方へと考えが寄ってしまう、などの悪循環も見られた。このままだと陥落すると思い、まずは仕事に詰まる原因から考えることにして、アイデア出しの前に資料を揃えたり、無闇に考え出さず、素材を手元に置いてそれを見ながら考えるクセをつけるなど、思考する方法から変えてみることにした。

 そうしたらこれは上手くいった。何かを考えようとする際に準備を必ず心がけるようになり、効率も上がった。禁煙云々を抜きにしても良い効果が生まれた。集中力が上がったので、喫煙の機会も減り、3日に1回、4日に1回と頻度も減って、半年が経つ頃合いで完全に無くなった。まずはひとつの習慣を減らすことに成功した。

 次に食後である。これはちょっとだけ難産だった。食後の一服の旨さを知っている人ならわかると思うが、脂っこい食事のあとに吸う煙草は絶品で、あれはフルコースの一環に組み入れてもいいのではないかと思うぐらい、口内に素晴らしい心地よさを与える。

 ならばと、同じ効果を得られる代わりを考えた。要は口の中をリセットすればいいのだからと、食後のコーヒー、もしくはお茶を必ず飲むようにした。コーヒーはプラス煙草のベストカップルがちらつくので、次第にお茶の方へシフトし、あとはなるべく禁煙のお店や禁煙席へ座るようにしていった。最初はあまり強烈に我慢をせず、次第にゆっくりと頻度を減らすことで、これも成功した。ただ、こちらは職場の一服よりも無くすのに時間がかかった。

 この2つが成功すれば、あとはもう終わりが見えていた。家にある煙草を処分し、灰皿を無くした。学生の頃に使っていた16mmフィルムの缶があって、これを灰皿として愛用していたのだけど、中をきれいに洗浄してクリップ入れにした。ライターは頂き物だけは大切に取っておいて、あとは処分した。元より、自宅で吸うことは最初から堅く決めていたこともあったので、すぐに解決した。

 そして最後が出先での喫煙欲だった。最近は吸う事を強制してくるような人はさすがにいないけれど、僕の周辺に喫煙者が多かったこともあって、初期の頃はちょっとつらかった。4人集まって3人喫煙者、みたいな時もあった。だけど、その頃には自宅と職場の習慣性がほぼ無くなっていたので、この2時間を耐えれば、みたいな感じで我慢を続けていたら、次第に慣れて何とも思わなくなった。

 こうして僕は禁煙に成功した。つい最近、このまま一度でも吸ったらまた戻るのか実験してみたくなって、飲みの席で一本だけ頂いたことがあったのだけど、その後は吸わずに習慣も戻らなかったので、これでほぼ完全に成功と言っていいかと思う。

 あくまでも僕の例で話すならば、禁煙を成功させるコツは、

 ・吸っている状況を書き出して、ひとつひとつ改変策を考える

 ・ただやめるのではなく、代わりになることを考える

 ・一気にストップするのではなく、フェードアウトがいい

 この辺りだろうか。もちろん個人差があるので、絶対というわけじゃないけれども。

 また、僕自身は個人的な事情もあって禁煙したけれども、理由がなければ別にやめる必要など無いんじゃないかと思っている。煙草はフレーバーも多彩で美味しい物だし、嫌煙ファッショはやめた立場から見ても異常に映る。こんな日記を書いておきながらと怒られそうだが、かつての仲間たちにはこれからも頑張れと伝えておきたい。

 あと余談だけれど、大雨の中でトヨエツが老婦人に火を貸してもらい、一瞬だけ音が途切れて「さよなら」と声が響くというセブンスター最後のCM、あれは本当に文化勲章とかあげるべきだと思う。

 

追記:禁煙してのメリットを書くのを失念していたので補足。まず、格段に行ける店や場所が増えた。嬉しい反面、本当に喫煙者って嫌がられてる時代なんやね、と悲しくもなった。それと、毎月5000円ぐらいかかっていた煙草代がそっくり残るようになった。これはメシ代や本代やゲーム代になった。ちょっと嬉しい。最後にメシ。味覚は間違い無く改善したと思う。メリットは他にもあったはずだけど、まあこの辺は色々書く人も多いだろうし、とりあえずはこの辺で。